この記事では、後払い決済サービスを任意整理できるのか・任意整理後も後払い決済サービスを利用できるのかについて解説します。
クレジットカードとは別枠で近年注目を浴びている後払い決済サービスですが、任意整理の対象となっているので手続き可能です。
また任意整理後も後払い決済サービスを利用することができるのですが、そこには“リスク”も発生します。
この記事を読んでいただければ、
- 後払い決済サービスを任意整理するメリット
- 任意整理後に後払い決済サービスを利用するリスク
- 後払い決済サービスと上手に付き合っていくには?
といったことが学べます。
それではどうぞ!
後払い決済サービスとは?
後払い決済サービスとは、商品を購入し現物(サービス)を受け取った後に支払いができるサービスで、主にECサイトの決済手段として活用されています。
後払い決済事業者は年々増加傾向にあり、
≪主な後払い決済事業者(サービス)≫
- キャリア決済
- PayPayあと払い
- メルペイあと払い
- ペイディ
- NP後払い
- atone
- GMO後払い etc…
他にも数十社にも及ぶ事業者が存在します。
後払い決済サービスのメリット
後払い決済サービスのメリットは下記の通りです。
- 安心して買い物ができる
- 誰でも利用できる
安心して買い物ができる
同じような決済サービスとしてクレジットカード決済が挙げられますが、クレジットカードはその性質上不正利用(悪用)されるリスクを抱えています。
その点後払い決済サービスは実際に商品を受け取ってから支払いができるので、
- 決済したのに商品が届かないという心配がない
- そもそもカードが存在しないので悪用されることがない
- 不良品に悩まされる心配がない
利用しやすさ、セキュリティ面でも良いとこどりのサービスと言えるでしょう。
誰でも利用できる
後払い決済サービスには年齢制限がなく誰でも利用できます。
(ただし未成年者は親権者の同意を得る必要がある)
後払い決済サービスのデメリット
後払い決済サービスは、その利用しやすさゆえに多重債務に陥るケースが後を絶ちません。
後払い決済サービスの滞納が続くと、、、
現実逃避したくなる気持ちも分かりますが、滞納が続けばさらに状況は悪化します。
滞納で突然訴訟に発展するわけではなく、
≪給与・財産差し押さえまでの流れ≫
- 督促状・取り立ての連絡(通知)がくる
- 遅延損害金(延滞利息)が発生する
- 催告書(裁判一歩手前の督促状)が自宅に届く
- 訴訟に発展
- 債権者の勝訴で債務執行(=強制執行する権利)を獲得
- 給与・財産の差し押さえ
これだけの道のりを通るのである程度の猶予があります。
催告書が自宅に届いた時点(③)であれば任意整理が可能ですので、早い段階で法律事務所に相談することが大切になってきます。
後払い決済サービスを任意整理するメリット
後払い決済サービスは任意整理が可能で、そのメリットは下記の通りです。
- 取り立てが停止
- 将来利息がカット
- 債務対象を選択できる
取り立てが停止
任意整理の契約が締結された直後、代理人より後払い決済事業者宛に受任通知(じゅにんつうち)が送付され、取り立てが停止します。
受任通知は停止であって“禁止”じゃない
受任通知が送付されたからといって、任意整理中永久的に取り立てが停止される、、という便利なものではありません。
一旦は停止しても“ある行為”をしてしまうとすぐ取り立てが再開される恐れがあります。
滞納以外にも、
≪滞納以外で受任通知が解除される要因≫
- 嘘の申告がバレて代理人が辞任(=任意整理の解約)した
- 債権者が指定する和解条件を守れなかった
- 預り金(※)の支払いが遅れて和解交渉が保留したまま
受任通知を有効活用するためにも上記のような行為は注意しましょう。
※預り金や任意整理後の支払い時期について別記事(↓)で詳しく解説しております。
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会社・家族にバレずに完済を目指せる
任意整理は会社から取り寄せる書類がない上に受任通知で不要な取り立て(郵送物)も停止するので、返済にさえ気を配っていれば会社・家族にバレる心配はありません。
ですので、借金の事実を家族(会社)に隠しながら完済を目指すということも可能だということです。
将来利息がカット
任意整理手続きの最大のメリットといえば将来利息のカットです。
任意整理は将来利息(=今後発生する利息)をカットすること&3~5年で完済できることが条件になるので、次のような計算式で割り出すことができます。
≪利息の計算式≫
利息=元金×金利×返済日数÷365
→任意整理は3~5年で返済することが条件なので、
(将来)利息=元金×金利×返済日数(3~5年)÷365
この計算式を踏まえて下記の例文をご覧ください。
例)元金が100万円、金利15%の5年後(日数だと1825日)の将来利息は?
100(万円)×0.15×1825÷365=75(万円)
→もしこの人が任意整理を行った場合75(万円)減額できる可能性がある
債務対象を選択できる
後ほど詳しく解説しますが、原則任意整理した後払い決済サービスは凍結(=強制解約)となり、それまで貯めてたポイントやサービスなども全て利用できなくなります。
さらに一度任意整理で凍結した事業者では“社内ブラック”として半永久的に情報が残るので再契約が難しいとされています。
債務対象選択の有無は債務整理によっても違い、
自己破産 | 全ての債務が整理対象 |
---|---|
個人再生 | 基本的に全て整理対象(一部除外可) |
任意整理 | 任意で整理対象を選択できる |
債務対象を自由に選択できるのは任意整理のみとなります。
後払い決済サービスを任意整理するデメリット
後払い決済サービスを任意整理するデメリットは下記の通りです。
- ブラックリストに載る
- 利用状況によっては債務額より依頼料の方が高くなるケースも
ブラックリストに載る
任意整理を行うと信用情報に傷が付く、、いわゆるブラックリスト入りとなります。
ブラックリスト入りすると、
- 新規の借り入れ
- クレジットカード作成
- ローン商品(ショッピングローン・カーローンなど)
- その他分割決済を要する商品・サービス
上記のように、信用情報に関わる全ての商品・サービスの審査が通りづらくなります。
任意整理で一度解約してしまうと再契約するのが極端に難しくなりますので、「これは解約したくない」という商品(サービス)に関しては整理対象から除外しておくことが大切になります。
依頼料が債務額を上回るケースも
後払い決済サービスの利用限度額は低めに設定されており、相場としては5~60,000円程度になります。
少し話は変わりますが、任意整理における法律事務所への依頼料(着手金・成功報酬など含む)は7~80,000円程度になることが多いです。
上記のようなケースだと任意整理せずに自力で返済した方がいい場合もあります。
ただ絶対ダメという話でもなく、もし後払い決済サービスの利息で困っていた場合は多少金額が上がっても利息カットできる任意整理を検討するべきです。
、、、というように、一概に「○○万円以上で任意整理」というルールがあるわけではありませんので、今時点で困っているならまずは法律事務所に相談してみましょう。
任意整理後も後払い決済サービスを利用できるのか?
任意整理をした場合、整理対象の債務は全て凍結(=強制解約)となります。
さらに完済後5~10年はブラックリストに登録されるので、新たな借り入れやローン契約は絶望的です。
そんな状態でも後払い決済サービスの利用・新規契約ができるのかというと、、
利用および新規契約両方とも可能です。
ですが、利用(契約)するにあたって注意点があります。
- 定額後払いサービスは利用不可
- 社内ブラックで新規契約できない場合がある
- 返済目的で利用しないこと
定額後払いサービスは利用不可
後払い決済サービスは商品受け取り後指定の期日までに一括で支払うのが一般的ですが、請求額を分割する「定額後払いサービス」という決済方法もあります。
定額(分割払い)にすることでまとまった金額がなくても商品が購入できるサービスですが、定額後払いサービスを利用するには審査(=信用情報の確認)が必須となります。
任意整理した場合は必ず信用情報に傷が付く(=ブラックリスト入り)ので、審査が必要する定額後払いサービスは利用できないということになります。
社内ブラックで新規契約ができない場合がある
各金融業者は商品・サービスを提供する際、申込者の信用情報をもとに審査の可否を決定していますが、それとは別に社内独自に管理している“社内ブラック”というものが存在します。
また社内ブラックは関連会社にも影響を及ぼすので、一社債務整理しただけなのに複数の会社で審査落ちするということも珍しくありません。
ですので将来的に新たな借り入れ・ローンなどを検討している場合は、今後関連会社のサービスを利用することがないかどうかも事前確認しておくことが大切です。
返済目的で利用しない
任意整理後は新たな借り入れを原則禁止にしておりますので、返済目的での利用は借り入れと同様の行為をみなされる恐れがあります。
もしどうしても「返済金が不足していて期日に間に合わない」という場合には、できるだけ早く代理人(法律事務所)に相談することが何より大切です。
『絶対に自己判断で解決しないこと』
任意整理は代理人との二人三脚だということを忘れず臨むようにしましょう。
まとめ|後払いサービスは便利である反面。。
後払いサービスは任意整理できるのか、そして任意整理後も後払いサービスは利用できるのかについて解説しました。
まとめますと、
- 後払い決済サービスは任意整理できる
- 任意整理後も後払い決済サービスを利用・新規契約も可能
- ブラックリストに載るので定額(分割)後払いサービスは利用不可
後払い決済サービスはクレジットカードが持てない人でも利用できる便利なサービス(決済方法)ですが、その反面多重債務に陥りやすいデメリットもあります。
収入の範囲内での利用が望ましいですが、もし自力での支払いが困難になった場合はすぐ法律事務所に相談しましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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愛する家族だからこそ言えない借金の悩み、それに畳みかけるかのように迫る返済の期日、山積みの督促状、取り立ての着信履歴の数々。。
現実逃避をしたくなる気持ち、よーく分かります。
なぜなら筆者である私自身がまさにこの状況だったからこそ、です。
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