この記事では、法テラスに任意整理を依頼するメリット・デメリットについて解説します。
任意整理を依頼する場合「弁護士事務所」「司法書士事務所」「法テラス」の3種類に分かれます。それぞれに一長一短ありますが、その中でも法テラスは任意整理費用を抑えられることでも知られています。
だからといって誰もが法テラスに依頼できるわけではなく“ある条件”をクリアする必要があります。
この記事を読んでいただければ、
- 法テラスの基礎知識
- 法テラスに任意整理を依頼するための条件
- 法テラスに任意整理を依頼するメリット・デメリット
- 法テラスと法律事務所どっちが良いの?
といったことが学べます。
それではどうぞ!
法テラス(日本司法支援センター)とは?
日本司法支援センター(通称:法テラス)は、2006年に設立された法的トラブルの総合窓口になります。
法テラスの主な業務は以下の通りです。
- 情報提供業務・・・法律に関する情報提供を無料で受けられる
- 民事法律扶助業務・・・経済的困窮から法的トラブルに発展した場合の法律相談・弁護士費用の立替えを受けられる
- 犯罪被害者支援業務・・・犯罪の被害に被った場合に相談や支援を受けられる
- 国選弁護等関連業務・・・国選弁護人の選定や報酬の支払いなどを管理している
- 司法過疎対策業務・・・身近に法律相談できる場所がないといった司法過疎地域の解消
今回解説する債務整理については「民事法律扶助業務(みんじほうりつふじょぎょうむ)」がこれに該当します。
民事法律扶助業務を詳しく
前述の通り、経済的に余裕がなく法的トラブルに発展した場合に無料の法律相談や弁護士費用の立替え(援助)を受けることができます。
簡単に言えば、法テラスでは債務整理に関する法律相談や弁護士費用の立替えを行う業務を有する、ということです。
法テラスで任意整理を依頼するための条件
法テラスを利用する“ある条件”とは以下の通りです。
- 収入が一定額以下であること
- 保有資産が一定額以下であること
- 勝訴の見込みが一定程度あること
収入が一定額以下であること
法テラスの民事法律扶助制度を利用するには申込者(および配偶者)の“手取り”月収額(賞与含む)が一定額以下である必要があります。
家族人数 | 月収額 | 家賃(住宅ローン)負担時に加算できる限度額 |
---|---|---|
1人 | 182,000円以下
(200,200円以下) |
41,000円以下
(53,000円以下) |
2人 | 251,000円以下
(276,100円以下) |
53,000円以下 (68,000円以下) |
3人 | 272,000円以下
(299,200円以下) |
66,000円以下 (85,000円以下) |
4人 | 299,000円以下
(328,900円以下) |
71,000円以下
(92,000円以下) |
※東京・大阪などの大都市部(一級地)では( )内の費用を適用
※月収額には賞与を含む
ここでの注意点は配偶者がいる場合は「申込者+配偶者=月収額」になるという点です。
以下の例を見てみましょう。
例)家族人数3人、申込者の月収額20万円、配偶者の月収額9万円、家賃4万円の場合、
200,000(申込者)+90,000(配偶者)=290,000円
→基準額の要件(272,000円以下)を超えているが、家賃負担分(+40,000円)が加算されるので収入が一定額以下であると判断できる
例)家族人数2人、申込者の月収額20万円、配偶者の月収額10万円、家賃2万円の場合、
200,000(申込者)+100,000(配偶者)=300,000円
→家賃負担の加算額(+20,000円)を入れても基準額を超えてしまうので法テラスを利用できない可能性がある
そのため、法テラスを利用する際は事前に申込者と配偶者の手取り月収額を把握しておくようにしましょう。
保有資産が一定額以下であること
前述で解説した収入と同様に保有資産が一定額以下であることも条件の一つとして挙げられます。
家族人数 | 資産の合計額 |
---|---|
1人 | 1,800,000円以下 |
2人 | 2,500,000円以下 |
3人 | 2,700,000円以下 |
4人 | 3,000,000円以下 |
勝訴の見込みが一定程度あること
勝訴の見込みが一定程度というと少し抽象的かもしれませんが、以下のようなケースに該当すると「勝訴(和解交渉)に不利」と判断され引き受けてもらえない場合があります。
- 収入や保有資産について虚偽の報告や偽造する行為
- その他法テラスに対し不誠実な態度を取る行為
- ギャンブルや株・FXなどによる借金
- 返済する意思がないのに借り入れを行う行為
これは自己破産・個人再生の免責不許可事由にも該当する行為で、任意整理においても和解交渉が不利になることがほとんどです。
法テラスに任意整理を依頼するメリット
法テラスに任意整理を依頼するメリットは以下の通りです。
- 任意整理費用(依頼料)が比較的安い
- 月々5,000~10,000円の分割払いに対応
任意整理費用(依頼料)が比較的安い
通常、任意整理を法律事務所に依頼する場合は「着手金(=依頼料)」が発生します。
また着手金の他にも和解交渉に成功した場合の減額(解決)報酬といった費用も加算されるので、上記の例でいうと約35万円前後はかかると思った方がいいでしょう。
では法テラスはどうなのかというと、
~法テラスの費用~
着手金 | 33,000円 |
---|---|
実費 | 10,000円 |
成功報酬 | 0円 |
減額報酬 | 0円 |
1社あたり43,000円固定で減額(解決)報酬金は発生しないので、どちらが安く済むのかは言うまでもないですね。
貸金業者が複数社ある場合の費用計算は?
法テラスで1社のみ任意整理する場合の依頼料は43,000円ですが、2社・3社と増える場合は単純に2倍・3倍となるわけではありません。
依頼料の料金表は以下の通りです。
貸金業者の数 | 着手金(円)+実費(円) | 合計(円) |
---|---|---|
1社 | 33,000+10,000 | 43,000 |
2社 | 49,500+15,000 | 64,500 |
3社 | 66,000+20,000 | 86,000 |
4社 | 88,000+20,000 | 108,000 |
5社 | 110,000+25,000 | 135,000 |
6~10社 | 154,000+25,000 | 179,000 |
11~20社 | 176,000+30,000 | 206,000 |
21~ | 198,000+35,000 | 233,000 |
自分の貸金業者数を照らし合わせて参考にしてみてください。
任意整理費用の分割払いに対応
任意整理を検討するにあたって、債務者の最大の壁は「費用を用意できるかどうか」でしょう。
とはいえ、近年では多くの法律事務所で分割払いを導入していることもあり、仮に1円も持っていなくても任意整理することが可能な事務所が増えてきております。
が、分割払いが可能な事務所が増えたとはいえ毎月数万円の返済が必要になってくるので、少しでも負担を減らしたいと思うのは当然と言えるでしょう。
その点、法テラスを利用できれば毎月5,000~10,000円での分割払いが可能で無理なく返済できるといったメリットがあります。
例)貸金業者4社の任意整理を法テラスに依頼した場合、
88,000(着手金)+20,000(実費)=108,000(依頼料)
→月額「5,000円」、「7,000円」、「10,000円」の3パターンから選択し108,000円を分割払いしていくことになる
法律事務所に依頼する場合は事務所によっても料金が変動しますが、法テラスの場合は料金が安いだけでなく(貸金業者の数によって)固定なので分かりやすいというのも大きなポイントです。
法テラスに任意整理を依頼するデメリット
法テラスに任意整理を依頼するデメリットは以下の通りです。
- 制限付きの無料相談
- 審査期間が長い
- 経験の浅い弁護士が代理人になることも
制限付きの無料面談(相談)
法テラスで任意整理を利用する際は、無料面談(相談)を経て「適正の見込み有り」と判断されれば契約となりますが、この無料相談が“制限付き”であることも念頭に置く必要があります。
スムーズに事が進めば問題ありませんが、法律のような専門的な内容になると理解も難しく色々と質問したいことが出てくるかもしれません。その場合だと制限付きの無料相談では心許ないので、法テラスではなく「24時間365日回数無制限・何度でも相談(受付)している法律事務所」も検討してみましょう。
※回数無制限で無料相談できる法律事務所については後ほど解説します。
審査期間が長い
任意整理を法テラスに依頼できれば恩恵も大きいですが、その反面審査に時間を要するというデメリットも存在します。
審査期間も債権者からの取り立て・督促は継続する
通常、任意整理の委任契約を結び代理人が受任通知を送付した時点で債権者からの取り立てや督促状は停止しますが、まだ契約を結んでいない審査期間については督促(取り立て)が継続します。
経験の浅い弁護士が代理人になることも
原則として担当弁護士を自分で選ぶことができないので、実務経験の浅い弁護士が担当になることもあります。
こういったリスクを回避する方法として「持ち込み式」という手段もありますが、この方法だと、
- 自分で希望する弁護士を探さなくてはならない
- 気に入った弁護士が見つかってもその事務所が法テラスと提携していなければ利用できない
- 必ずしも弁護士が受任してくれるとは限らない
上記の通り手間と時間がかかるため、時間的余裕があり且つ確実性の重視したい方にオススメの方法と言えます。
【実体験談】任意整理を依頼するなら法テラス?法律事務所?
条件を満たせば多くの恩恵を受けられる法テラス(=民事法律扶助制度)ですが、法律事務所に任意整理依頼した筆者としては法テラスにはないメリットも数多く存在すると感じます。
その中でも特に法律事務所に依頼して良かったと感じた部分は以下の通りです。
- 債務整理の実績豊富な事務所に依頼できる
- 無料相談が充実している
- 審査期間がない
債務整理の実績豊富な事務所に依頼できる
法テラスは基本的に無料面談で対応した弁護士が担当となるので運要素が大きいのですが、直接依頼するやり方ならそのリスクを回避できます。
少しでも有利な任意整理にするためにも実績豊富な弁護士に依頼することは重要な要素と言えます。
また多くの法律事務所が分割払いに対応しているので、法テラス同様手持ち金がなくても依頼することが可能です。
詳しくは別記事で解説しておりますので、ぜひ参考にしてみてください。
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無料相談が充実している
依頼する法律事務所にもよりますが、任意整理の実績豊富な事務所は関連するサービスも充実しています。
例えば弁護士法人ユア・エース(旧:天音総合法律事務所)は「24時間365日且つ回数無制限で相談受付に対応」しているので、気兼ねなく相談することができます。
任意整理について右も左も分からない状態での契約は誰だって怖いものです。納得のいく債務整理を目指すなら無料相談を始めとしたサポート体制の充実度も検討すべきでしょう。

審査期間がない
法テラスに依頼する流れとしては、
- 法テラス利用可能な法律事務所を探す(公式HPからも検索可)
- 無料面談の予約を入れる
- 無料面談
- 審査(2週間~1ヶ月程度)
- 契約
上記の通り、多くの工程を踏む必要があるので相応の時間を要します。
では、直接法律事務所に依頼する場合はというと、
- 希望する法律事務所に相談(対面・電話・メールなど)
- ヒアリング
- 契約
相談から契約までの流れは数日どころか3~4時間もあれば完了してしまいます。
任意整理を検討している段階というのは緊急性が高い方が大半なので、スピーディーさを求めるなら直接依頼がオススメです。
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まとめ|費用重視なら法テラスがオススメだが、、
法テラスの基礎知識と任意整理を依頼した場合のメリット・デメリットについて解説しました。
まとめますと、
- 法テラスは法的トラブルの総合窓口
- 収入・貯蓄がない方向けに債務整理を始めとした各種サポートを展開している
- 民事法律扶助制度の条件を満たせば弁護士費用の立替や無料相談の恩恵を受けられる
- 契約までの審査期間が長いのが難点で緊急性の高い案件には不向き
「少しでも費用を抑えたい」という方には法テラスがオススメですが、サービスやサポート体制、交渉力といった総合的な観点でみると弁護士への直接依頼に軍配が上がるかなというのが個人的な感想です。
当記事が任意整理を検討している方の参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

家族に内緒で借金完済できる“唯一”の方法、それは任意整理(にんいせいり)です。
愛する家族だからこそ言えない借金の悩み、それに畳みかけるかのように迫る返済の期日、山積みの督促状、取り立ての着信履歴の数々。。
現実逃避をしたくなる気持ち、よーく分かります。
なぜなら筆者である私自身がまさにこの状況だったからこそ、です。
私がオススメする弁護士法人ユア・エース(旧:天音総合法律事務所)は、無料・匿名で利用できる借金減額診断ツールがありますので、まずは減額できる可能性があるのかどうかを確認してみましょう。

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