この記事では、任意整理中に債権者(お金を貸す人・業者)から訴えられるケースがあるこかどうかについて解説します。
通常、任意整理の手順として、
- 法律事務所と代理人契約を結ぶ
- 各債権者に受任通知が送付される
- 各書類・手続きの準備を得て和解交渉がスタート
- (和解交渉の合意後)任意整理後の返済が開始
上記のように進行し、②の時点で各債権者は督促状や取り立ての一切を停止、③を得て訴訟を起こさないとされています。
基本的に和解交渉がスタートした時点で債権者は合意に協力的になりますが、“例外的に”訴訟へ発展してしまうケースも存在します。
この記事をお読みいただければ、
- 任意整理中に訴訟に発展するケース
- 任意整理中に訴訟へ発展した場合のリスク
- 裁判所へ出頭義務はあるのか
といったことが学べます。
それではどうぞ!
任意整理と訴訟(=訴える)の関係性
任意整理は代理人(法律事務所)と債権者間の和解(減額)交渉を得て減額率が確定する債務整理です。
また強制力のある自己破産や個人再生とは違い、任意整理はあくまで“任意”なので交渉に応じるかどうかは債権者次第という手続きでもあります。
そのため、債権者側としてはわざわざ交渉の席を蹴ってまで訴訟を起こす(=債務者を訴える)ことはしない、というのが常識とされています。
任意整理中に訴える行為は禁止されていない
「任意整理期間中に債権者が訴訟を起こすことは違法である」「法律事務所が介入するんだから訴訟が起きるわけない」と勘違いしている人がいますがそれは“誤り”です。
先ほどの解説の通り、任意整理が始まれば大抵の場合債権者は和解交渉のテーブルに着いてくれます。ですが任意整理期間中は訴訟を停止しなければならないというような法律はないので、訴訟の有無は“債権者次第”ということになります。
例外的なケースとは下記の通りです。
- 任意整理開始時点で訴訟の手続きを進めていた
- 和解交渉期間が延びてしまった
- 代理人が辞任してしまった
任意整理開始時点で訴訟の手続きを進めていた
返済の滞納や督促状・取り立ての無視などが続いていると、債権者は負債回収に向けて裁判の準備を進めることになります。
その準備期間と任意整理の手続きが重なることで生じる、まさに入れ違いのケースと言えます。
厳密には通常の任意整理と裁判に発展した場合の和解交渉で条件に差が出ることはありますが、任意整理後に裁判へ発展した場合は訴訟上での和解を試みることになるということは覚えておきましょう。
例外的なケース②何らかの理由で和解交渉期間が延びてしまった
任意整理後即座に和解交渉に移行するわけではなく、3~6ヶ月間程度の準備期間を要します。
任意整理手続き後(厳密には受任通知後)、債権者からの取り立てが停止する期間を活用してお金を貯めることを預り金(積立金)と言います。
依頼料(弁護士費用)や様々な場面で活用される預り金ですが、預り金が計画通りに支払われないとその分和解交渉に移行する期間も延びてしまいます。
※預り金については別記事(↓)でも詳しく解説しております。
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受任通知(介入通知)とは?
任意整理後、代理人が各債権者に「債務者の代わりに代理人として介入しますよ」と通知する手続きのことです。これにより各債権者は債務者に対する取り立てを停止させますが、和解交渉の準備期間が長引いたり交渉後も滞納が続いたりするとその効力は失われ取り立てが再開するので要注意。
任意整理中に訴えられた場合のリスク
任意整理中に債権者から訴えられた場合のリスクは下記の通りです。
- 借金をしていることが家族にバレる
- 和解条件が通常の任意整理よりも厳しくなる
- (個人で手続きした場合)裁判所への出頭義務や給与の差し押さえ
任意整理をすること(借金をしていること)が家族にバレる
債権者が債務者を訴える場合、通常“債務者宛”に訴状が届きます。
任意整理は「家族にバレにくい手続き」が強みですが、訴状を家族に見られてしまった場合はさすがに隠し通すことは厳しいでしょう。
和解条件が通常の任意整理よりも厳しくなる
まず前提として、任意整理を法律事務所に依頼してた状況下で裁判に発展した場合は、法律事務所が代理人として代わりに手続きしてくれます。
ただ、裁判所が介入した場合の和解交渉は通常の交渉と比べても厳しくなりやすいとされています。
例として、
- 利息の減額率が下がる
- 遅延損害金がカットされない
- 滞納した場合即座に給与・財産の差し押さえが強制執行される
通常の任意整理の場合、「滞納した場合は一括請求(分割払いの終了)→それでも滞納が続く場合は訴訟」といった流れになりますが、裁判所経由の交渉になった場合は「滞納した場合は即座に給与・財産差し押さえ」の手続きを進められてしまうリスクがあります。
司法書士に依頼する場合は注意が必要
任意整理は弁護士事務所以外に司法書士事務所に依頼することも可能ですが、
- 訴額(1社あたりの債務額)が140万円を超える裁判の代理人にはなれない
- 簡易裁判所以外の代理人にはなれない
といったように、対応できない職務があることも覚えておきましょう。
(個人で手続きした場合)裁判所への出頭義務が発生する
大前提として、代理人を経由せず個人で手続きすることはリスクしかないのでオススメしません。
【補足】裁判は訴えられるだけでなく“訴える”ケースもある
任意整理においての裁判はデメリットだけでなく、過払い金請求手続きでこちらから債権者に“訴える”ケースもあります。
※過払い金請求については別記事(↓)で詳しく解説しております。

まとめ|任意整理後訴えられても諦めないことが大切
任意整理中に訴えられる可能性があるのかについて解説しました。
まとめますと、
- 任意整理中も訴えられる可能性がある
- 任意整理中の裁判は代理人(依頼を受けた法律事務所)が対応してくれる
- 裁判所を介する和解交渉の場合条件が厳しくなることもある
- 過払い金請求で逆に訴えるケースもある
突然自宅に訴状が届いた場合パニックになり次の行動が移せなくなる、ということもあるかと思います。
訴状=人生の終わりではありませんので落ち着いて法律事務所に相談することが大切です。
訴えられても“諦めず”周りを頼りながら完済を目指しましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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