この記事では、任意整理を契約した後の支払い開始時期について解説します。
法律事務所(司法書士事務所)と委任契約を結ぶと即座に返済がスタートするわけではなく、3~6ヶ月程度の和解交渉の期間を経て支払いがスタートする仕組みをなっています。
なぜ契約直後から支払いがスタートするのかは「預り金(積立金)」というシステムが関係してきます。
この記事を読んでいただければ、
- 任意整理契約後の交渉期間の流れ
- 交渉期間の返済ストップ期間と支払い開始時期が乖離しているワケ
- 任意整理の支払いが遅れるとどうなるのか
といったことが学べます。
それではどうぞ!
任意整理後の支払い開始時期はいつから?
債務者(お金を借りた人)と代理人(法律事務所や司法書士事務所)との契約が締結されると、今度は代理人と債権者(お金を貸す人・会社)との間で和解交渉がスタートします。
この和解交渉の期間は3~6ヶ月程度が相場で、その間返済はストップします。
預り金(積立金)とは、任意整理後の返済金に充てられるお金のことで、他にも弁護士費用の分割払い等にも活用されます。
預り金(積立金)は返金されることはない
預り金(積立金)は別名「プール(=貯める)金」とも呼ばれ、何となく返金されるイメージがありますが、原則債務者に戻ってくることはありません。
預り金(積立金)=和解交渉の重要な役割を担う
弁護士費用の分割、返済金が不足した場合の補填としての役割だけでなく、代理人と債権者の和解交渉の中でも重要な役割を担っています。
預り金(積立金)の役割について説明する前に、突然ですが下記の質問にお答えください。
あなたが債権者(お金を貸す人)の立場だとして、
- ある程度の預り金をプールしている債務者A
- 預り金を全くプールしていない債務者B
和解(=借金減額)した場合に計画通りに返済してくれそうな人はA、Bどちらでしょうか?
言わずとも、答えは全員が「債務者A」かと思います。
任意整理をするということは、端的に言えば「お金がないから減額してほしい」とお願いする手続きのことで、当然債権者も「減額後きちんと返済してくれるだろうか」と交渉に対して慎重な姿勢を見せてきます。
そこで交渉段階で預り金(積立金)があることを提示することで「今後この人は返済していくだけの支払い能力がある」と見てもらえるので交渉の成功率(減額率)が上がる、ということです。
初回返済額が大きくなる場合にも役立つ
和解交渉の中で、債権者より「初回返済額を数ヶ月分支払ってもらうことが和解条件」となるケースもあります。その場合は当然指定された返済額を支払う必要がありますが、その分の返済金を別途用意するというのは債務者にとって大きな負担となるでしょう。
その場合、預り金(積立金)の貯蓄があることでその返済に充てることができるので、やはり預り金(積立金)はあって困ることのないシステムを言えます。
預り金(積立金)についてまとめますと、
- 預り金(積立金)は今後の返済能力を確認するための審査も兼ねている
- 弁護士(司法書士)費用の分割払いに充てられる
- 和解交渉において債権者に支払い能力があることの証明になる
- 急な出費が発生する際に債務者の負担を軽減できる
任意整理の支払い開始時期までの流れ
任意整理の支払い開始までの流れは、
- ヒアリング
- 委任契約
- 受任通知
- 和解交渉&預り金の支払い開始
となります。
法律事務所とヒアリング
委任契約をする前に、必ず法律事務所とのヒアリングが行われます。
ヒアリングの内容としては、
- お借入れ状況(借入先や時期、金額など)
- 毎月の返済額(複数の場合は各社ごと)
- 勤務先(業種)や年収(毎月の手取りなども)、給与の内訳
- 貯蓄の有無
- 毎月どれくらいの返済が可能か
- 希望の返済日
- 家族(身内)の協力は可能か
- 今後のやり取り手段
- 返済の方法
といったことを話し合いますが、ここで大切なのは『嘘を言わないこと』です。
だらしないと思われたくないからと見栄を張ったり、実際の債務額と低い金額を伝えてしまうと、後々の調査でバレることはもちろんのこと、和解交渉が難航したり法律事務所との信用も築けなくなります。
特に任意整理が家族や会社にバレたくないとお考えの方は、その協力者でもある法律事務所との信頼関係は大切にしましょう。
委任(代理人)契約

引用元:クラウドサイン公式HP
ヒアリングが完了し任意整理が適当と判断されれば、実際に法律事務所と委任契約を結びます。
契約自体は簡単で、現在は書面でのやり取りではなく「WEB完結型の契約書」に署名して締結となります。
受任通知
任意整理の契約が締結した暁には、法律事務所(司法書士事務所)より各債権者宛てに受任通知が送付されます。
受任通知(じゅにんつうち)とは債務者から依頼を受けた法律事務所(司法書士事務所)が間に入ることを債権者に通知する手続きのことで、これにより督促状や取り立ての一切が停止します。
※別名「介入通知」「債務整理開始通知」とも呼ばれます。
預り金(積立金)の支払い開始
代理人による債権者との和解交渉(準備期間含む)を並行して預り金(積立金)の支払いがスタートします。
繰り返しにはなりますが、預り金(積立金)には、
- 預り金(積立金)は今後の返済能力を確認するための審査も兼ねている
- 弁護士(司法書士)費用の分割払いに充てられる
- 和解交渉において債権者に支払い能力があることの証明になる
- 急な出費が発生する際に債務者の負担を軽減できる
といった用途がありますので、交渉期間(3~6ヶ月程度)を活用して支払いを進めていく必要があります。
預り金(積立金)の支払いが遅れると、、?
上記でも解説したように預り金には重要な役割があります。
もし支払いが遅れる・滞納するようなことがあると、その間代理人は交渉を進めることができなくなるので、しびれを切らした債権者が取り立てを再開する、訴訟に発展するといったリスクが発生してしまいます。
その他にも、
- 返済能力が認められず交渉が失敗に終わる
- 減額率が下がったり初月数ヶ月分の支払いが求められることもある
- 弁護士(司法書士)費用が支払われず契約解除になる
まだ返済がスタートしていないからと甘く考えず、滞りなく支払いを進めていくことが大切です。
任意整理後の支払いが遅れることのリスク
和解交渉が円滑に進み、利息の減額(カット)が成されれば任意整理の返済がスタートとなります。
任意整理後は将来利息が発生することがないので、計画通りに返済出来ればおよそ3~5年程度で完済できるはずです。
ですが、もし返済計画通りに進めることができなかった場合、
- 督促状、取り立てが再開
- 分割返済から一括返済(請求)へ切り替わる
- 財産や給与の差し押さえ
といったリスクが発生することがあります。
フェーズ1:督促状、取り立ての再開
通常、任意整理契約が締結されると受任通知が各債権者に届き取り立ての一切が停止します。
受任通知の効力が失われることは任意整理のメリットが半減したといっても過言ではありませんので、円滑な返済を進めるためにも2回以上滞納しないことが大切です。
フェーズ2:分割返済から一括返済に切り替わる
さらに滞納が続くと債務不履行ということで分割返済が終了し、債権者から一括返済を求められます。
こうなってしまうと、残りの返済額を一括で支払うしか方法がなくなります。
最終フェーズ:財産・給与の差し押さえ
それでも滞納が続いた場合の最終地点は財産(家や車など)・給与の差し押さえが実行されます。
財産が差し押さえとなると家族にバレるでしょうし、給与の差し押さえで会社にもバレてしまいます。
家や車も失い、さらには給与も差し押さえられ、最悪の場合家族を失いことも。。。
最悪の事態を避けるために、、、
任意整理後突然収入が減少したり、何らかの理由で返済が困難になる可能性も考えられます。
その際は『早めに代理人に相談すること』が重要です。
大切なことなので繰り返しますが、返済が遅れる・滞納する恐れがある場合は、最悪の事態を避けるためにも代理人に“早めに”相談するようにしましょう。
まとめ|支払い開始時期に待ったはない
任意整理の支払い開始時期について解説しました。
まとめますと、
- 支払い開始時期は任意整理契約“直後(翌月)”からスタートする
- 預り金(積立金)は様々な面で活用される
- 預り金(積立金)の支払いが遅れると和解交渉に悪影響がある
- 任意整理後の支払いが遅れると最悪財産・給与の差し押さえになる
- 返済が遅れる前に早めの相談が重要
一度支払いがスタートすれば誰も待ってはくれません。
また返済期日に間に合わない、返済額に足りてないからと滞納が続けば待ってるのは地獄です。
計画通りに返済することが大前提ですが、それと同じくらい早めに相談するということも大切にしてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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愛する家族だからこそ言えない借金の悩み、それに畳みかけるかのように迫る返済の期日、山積みの督促状、取り立ての着信履歴の数々。。
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